俺様社長に飼われてます。
「ああ、すみません。篠原さんの親戚か何かですか?」
どう考えても本心で口にはしていないだろうその言葉に、おじさんは思わず言葉に詰まっているようだった。
「ま、迷子になったみたいだから声を掛けただけで」
「へー。嫌がる女の子の手を掴み上げてるように見えたのは俺の気のせいですか、そうですか」
言い訳を並べるおじさんをじとりと睨み付ける赤羽さん。暗闇のせいか、目に光がないのも相まってすごく怖い。
「……っ、」
「あ。ちょっと」
返す言葉が見つからなかったのか、おじさんは唇を噛み締めたかと思うと私を突き飛ばすようにして逃げ出した。
キャンッ、と犬の悲鳴が聞こえて赤羽さんの腕からトイプードルが抜け出す。その中に代わりに私が収まる形になった。