俺様社長に飼われてます。
「それじゃあ、俺もう行きますね」
足元からもふもふの毛の塊が離れていく。
飼い主によく懐いているらしく、リードを引かれたトイプードルは嬉しそうに跳ねるようにして赤羽さんの足元に駆け寄った。
「……っ、待って!……ください」
私に背を向けて本当にあっさり立ち去ろうとする赤羽さんのジャージの裾を全力で引っ張ると、赤羽さんはつんのめるようにして立ち止まった。
トイプードルが驚いたように飛び跳ねる。
「……あ、あの!」
ここがどこだかわからないし、あんなものを見たあとに高山さんの自宅に戻るのも気まずい。
「赤羽さんの家に泊めてください!」
勇気を出して言い放った私の言葉に赤羽さんの眼鏡がずり下がった。