俺様社長に飼われてます。


ホカホカと湯気の出る身体のソファに寝転がるトイプードルを抱き上げた。

名前はメープルというらしい。メープルシロップの色をしているからメープル。赤羽さんらしい名付け方というか、なんというか。


「何か飲みます?水と麦茶と牛乳がありますけど」

「え、あ……。じゃあ、麦茶で……」


メープルちゃん(君?)を抱き締めながら貸してもらった赤羽さんのTシャツとスウェットをしげしげと眺めていると、 突然声をかけられて心臓が口から出そうになった。


「事情はわかりましたけど、これからどうするつもりなんですか?」


私と同じようにTシャツとスウェットに身を包んだ赤羽さんは麦茶のグラスを私に差し出していつもの気だるそうな声でそう言った。


私はグラスを受け取って、ちびりと口をつける。

乾いた口内にじんわりと染み渡っていく感覚に目を細めて、もう一度グラスを傾けた。


< 95 / 164 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop