叫べ、叫べ、大きく叫べ!
もう朝が来た。
珍しく蝉の声がしない朝に起き上がった体をさらに立たせ窓を覗く。
「……雨か」
霧雨。
この雨は嫌い。
雨自体嫌いだけど、霧雨は一番好まない。
この蒸し暑い時期にさらにベタつく雨粒はこれ以上かってくらい、私の気分を落とさせる。
今の時点でもうベタついてるし、髪も湿気っちゃって、くせっ毛の私にはとても整えようがない。
大きなあくびを一つして、思いきり伸びをすると小さくドアをノックする音が聞こえた。
栞那だ。
「朝練いってきまーす」と眠そうな声にドアに向かって「いってらっしゃい」そう声をかける。
足音がバタバタと慌ただしく下へ下りた音を聞いて時計を見ると、長針が【6】を指していることを確認した。
昨日あんなに張り切っていたのに、寝坊だなんて、ほんといい性格してるよ。
妹が家を出る頃に私は制服に着替え、朝食を済ませ、適当につけたテレビ画面に目を通して、家を出た。