叫べ、叫べ、大きく叫べ!

――放課後。


久しぶりの屋上に背伸びをする。


この感じ前にもあったな、と思い出して笑みを浮かべた。


でもあの時とは全然気持ちが違うように思えるのは私の身に変化が起きたからなのかな。



「……友達、かぁ」


言葉にするとくすぐったくて、恥ずかしい。
まるで幼稚園生のころに戻ったみたい。


文香ちゃんと皐月ちゃんとは夏休みにも会うことができるみたいで、今年の夏は楽しみだなと素直に思う。



『夏澄ー!一緒に帰ろうっ』


授業終わりに突然飛び込んできた文香ちゃんの声。


びっくりしたのはその声の大きさにもだけど、一番は名前に『ちゃん』が無くなっていたこと。


連絡先交換してから5日でこんなに人との関係が濃くなるものなのか、と日々の変化に驚きっぱなしだ。


それもこれも2人が私を『友達』と言ってくれたことが私にとって全てのはじまりで。


それがなんだかちょっぴり怖くて。

2人には未だに思い切りは踏み込めていないことは確かで。


それでも『友達』になりたいと強く願っている。


帰り際。


今日は用事があると言ってお別れしたけれど、2人とも残念そうに『そっかー』だなんて言ってくれて、おかしいかもしれないけど、その反応に私は嬉しさが込み上げた。

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