叫べ、叫べ、大きく叫べ!

「ねえ、この状態でも人の心読めるようになったの?」

「えっ」


今度は彼が戸惑ったように瞳が揺らいだ。


この反応からして図星ということは間違いなさそうだけど。

これって……。



「あんた自分のことは踏み込んで欲しくなさそうなのに、他人となると結構来るんだな」

「ハイ?」

「まあ間違いじゃないけど。別に危険なことじゃないから安心しなよ。仮に危険だったとしてもあんたには関係ないから」


ふいっと視線を外した彼はフェンスの向こうを見つめた。


もとから瞳に光がないそんな虚ろな目を持った彼だけど、今の彼は本当に消えてなくなってしまいそうな色を持たない瞳をしていた。


……なんだか私を見ているみたい。


私も誰かに心配されるような人間じゃない。
私は独りぼっち。私はつまらない奴。私は居なくていい存在。


そうずっと今まで思い続けているからこそ、この瞳を私はよく知っている。


でもさすがにあの言い方は傷つくよ?


なによ、『あんた自分のことは踏み込んで欲しくなさそうなのに、他人となると結構来るんだな』って!

そりゃ私は自分のこと話さない、話したくなんかないし?
知られても困るし?自分のテリトリーに踏み込んで欲しくないのは事実ですけど!


言い方ってもんがあるでしょーよ!!


それにねえ!

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