叫べ、叫べ、大きく叫べ!
懐かしむような温かい瞳が暫くしてこちらを見た。
「私ね、中学の時一部の女子に嫌がらせ……イジメになるのかな?まあ、そうされてた時期があってね。そんな時にアヤと出会ったんだ」
「……そうだったんだ」
「うん。周りは私から遠ざかっていったんだけど、アヤだけは違って。むしろ初めましてだったのにずっと一緒にいてくれたんだよね」
皐月はおかしそうに鼻で笑うけれどそれは嬉しそうで。
突然始まった皐月の過去の話にドキドキして、でも踏み込んではいけなかったんじゃないかって思ったりしたけれど、
皐月は最後まで笑っていた。
「あ、ごめんねっ、こんな話しちゃって。でもねこれだけは言える。夏澄ちゃんを嫌うなんてことは私もアヤも絶対ないよ。だから信じてみて」
垂れた大きな目が綺麗な弧を描くと「お待たせいたしました〜っ。私特製スペシャルドリンクでございマース!」と調子よく戻ってきた彼女に2人して笑った。
『信じてみて』
その言葉が胸の中でじんわり広がって、胸を熱くさせたから泣きそうになって。
慌てて俯いて、瞬きを数回した。
「さぁさぁ、飲みなさ、」
「てかアヤ。夏澄ちゃんの話最後まで聞かないで行ったでしょ。泣きそうになってたんだからねっ」
「ぅえ!?ウソっ夏澄ゴメン!って目が赤っ!えっ」
「あははっ」
皐月の笑い声につられて笑うと、文香は私たち2人を交互にオドオドしながら見ていて、それがまた面白くて。
あー私にもちゃんと友達が出来たんだなって、この上ない幸せを感じた。