叫べ、叫べ、大きく叫べ!

文香が作ってきた特製スペシャルドリンクは2種類あって。


見た目は真っ黒とドス濃い茶色。
味はどうこう言えないけれど、真っ黒だけは美味しかった。


何を入れたのか本人が一番分かっていなくてそこでまた笑いが起こって。


とても楽しすぎて、“この空間から逃れたくない”なんて思った。



「そうだ。2人とも夏休みほかに予定あったりする?」


そう聞いたのは隣にいる皐月。


3人で手帳を開きながら。



「見てこの通りバイト三昧。土日は入れないようにはしてる。夏澄は?」

「私もバイト入ってる」

「そっかぁ。……あ!」


皐月が残念に声をあげたかと思えば、一瞬にして弾んだトーンに変わって。


トントントンと、3人分の21日を指さした。



「この日3人で夏祭り行かない?」

「いいね!行こ行こ!」


文香の弾んだ声に私も大きく頷く。


夏祭り……!
しかも友達と!
ものすごく行きたいっ。



「じゃあ決まりってことで!」


イエーイと3人でハイタッチをしてから、スケジュール帳にみんなして書き込んだ。


〝夏祭り〟


そう書いた新たに追加された予定が一番キラキラしていて、思わず顔が綻ぶ。


良かった。
偶然かもしれないけれど何も予定が入っていなくて。

また、2人に会えるんだ。嬉しいな。

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