叫べ、叫べ、大きく叫べ!

「これでまた2人に会えるんだあ。嬉し!」

「んね!って夏澄!?」


文香が私を呼んでギョッとしているから首を傾げると、皐月も「どうしたの!?」と驚いていた。


なんでそんなに驚いているのかさらにハテナを浮かべて2人を見ると、文香が自分の目元を触れた。


それに倣って目元を触れると、冷たい何かが指を湿らせた。


そこではじめて気付く。泣いていることに。でもなんで……。



「え、どうしたの!?」

「いや、分かんないけどなんでだろう……っ」


泣いてることを自覚した途端、溢れて止まらなくて。


背中を撫でてくれる皐月の手が温かくて。
文香の心配する声にもなんだか泣けてきて。

私どうしちゃったんだろう。なんで泣いてるのかな。


2人とも困っちゃうじゃん。突然泣くなんておかしいもの。



「た、たぶん、嬉しいから、だと思う」


そう。2人と同じ気持ちだと知って溢れた涙なんだこれは。
そうじゃないとこの胸の熱さの意味は一体何ものなんだろうか。


嬉しくて堪らないんだ。
私が求めていたものだから。
気持ちを共有したいと。
自分だけの感情じゃなくて、“友達と”だから。


私の感情はこんなにもバグってしまったのか。
嬉しくて涙が止まらないなんておかしすぎるよ。

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