叫べ、叫べ、大きく叫べ!

席へ戻ると、テーブルはほとんど問題集で溢れ返っていて。

文香と都波と真田くんは同じ格好をして勉強に励んでいる。


どうやら難問にぶち当たっているみたい。



「あーっ、わっかんねえ!」

「私も疲れたあっ」

「あー夏澄ちゃんが遠いー」


思わずカルピスを吹き出しそうになって、都波を睨みつけるとペロッと舌を出して笑われて。


透かさずため息を零す。


2人とも頑張ってんのになに馬鹿なこと言ってるんだか。ほんとこの席で良かった。


ちゅーっとカルピスを吸っているとバチリと目の前の真田くんと目が合って心臓が飛び跳ねた。


たまたま合っただけなんだろうけど。
上目遣いに見られたその一瞬の仕草が胸をつついて。
ドキドキと鼓動を刻んだ。


そんな彼も慌てた様子で逸らして、未だに解けていない問題と向き合った。


チラリと見えた問題は数学で、さっき文香も難航していたやつだと思った私は。



「……この問題、こっちの方程式使うといいと思う」

「え、」

「あ、ごめん。さっき文香も同じところやってたから」

「……。あ、ありがとう」


目線だけをこちらに向けた真田くんは再び下を向いて問題を解いていく。


そんな彼を見守りながら『ちょっと出しゃばり過ぎたかな』なんて不安に思っていると、しばらくして顔を上げた真田くんと目が合った。

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