叫べ、叫べ、大きく叫べ!

そんなこんなで色々質問攻めされながら、頼んだものを待ちつつ、運ばれた順に食べていく上で、私はなぜか目の前に居る人を訝しげに見る。



「そこ、真田くんの席ですけど」

「まあいーじゃん?席なんて自由だし」


剣が席を外したのがいけないの、と勝ち誇ったように笑う都波は美味しそうにピザを頬張った。


いや。だからってここに座る必要ある?

私としては窓側に戻ってほしいんだけど、言っても聞いてくれなさそう。


せっかく真田くんが最高の提案をしてくれた席順だったのに……と美味しそうに食べ続ける彼をひと睨みする。


お手洗いへ行ったその隙にこれだ。きっと真田くん驚くんだろうなぁ。



「は、おま、なにここ座ってんだよっ……て俺のものちゃっかり移動してんじゃねーよっ」


ほらみろ。

真田くん可哀想……。


スパーンといい音までとはいかないけれど、軽く振った手は見事都波の後頭部を掠めて、そのまま真田くんは窓側へ移動してしまった。


ほんの一瞬真田くんと目が合うと『ごめん』と片方の手を鼻の前に掲げたのをみて、『大丈夫』と頷いた。


仕方ない。嫌だけれどここは耐えよう。
話しかけられたらいつものように相手するだけ。


文香と皐月もなんとも言えないような雰囲気でしょんぼりしていて、『気にしないで』と笑ってみせた。

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