叫べ、叫べ、大きく叫べ!

突如、聞こえた声が鼓膜を大きく震わせた。


とても痛く耳障りな声。


それに肩を弾ませた私はいいところで現実に引き戻されてしまったのだと気付く。


伏せた顔を上げると、呆れ顔の担任がいた。



「いつまで寝てるんだ。もうHR始まってるんだから起きろ」


まだ頭はぼーっとしたまま体を起こして、教卓へ向かう広い背中を訝しげにみた。


……もっと優しく起こすってことできないの?


中嶋は厳しいで有名で、生徒からは嫌われ者だ。


私もその一人。


当たり前のように言ってくる威張った口調が特に気に入らない。


そんな寝ていたぐらいでカッカッしないで欲しい。

けど、私が悪い。
予鈴が鳴ったことに気づかなかった。

夢の中に夢中だったから。


でも。


こんなこと思いたくも言いたくもないけど、私の母と似てて嫌いだ。


たぶん、そのせいもあるのだろう。この担任を嫌う理由が。


でも、似てるんだもの。嫌いなものは嫌い。


あの呆れ顔、気分が悪いときの低い声、その口調……何もかもが重なってみえてしまう。

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