叫べ、叫べ、大きく叫べ!
雨は朝よりも音をたてていて、いつもなら屋上でお昼を食べるけれど、今日は仕方なく教室で食べることにした。
教室はクラスじゃなくて、2階の人通りの少ない空き教室。
一応、第2の私の居場所だ。
指定位置は決まって一番後ろの窓側の席。
ここから覗く窓の向こうにはグラウンドがみえて、その向こうには高いボールが飛び越えないように作られたネットの柵。
そして、本来晴れている日には必ず見える、富士山の頭。
買ってきたばかりのサンドウィッチを開封しながら窓の外をみる。
今日一日雨って言ってたから、この空から光が覗くことはないんだろう。
……やだな。またモヤってきた。
早く放課後にならないかな。早く家に帰りたい。けど帰りたくない。
でも帰る場所はたった一つしかないから、そう思うしかない。
とりあえず、ベッドの上に寝転がって波打った天井の模様をひたすら眺めてそのまま夢の中へいきたい。
哀しいけど、少しは笑顔になれるから。
最後の一口を入れて、ペットボトルの中身を飲む。
黒板の上に掛けられている古びた丸い時計をみて、まだまだ次の授業まで時間があると確認した私は、特に何もすることがないので、机に伏せた。
廊下側に顔を向けると、ズラリとがたがたに並んだ机たち。
視線はだんだんと下へいって、その1点をただ見つめた。