叫べ、叫べ、大きく叫べ!
何とか落ち着きを取り戻し、みんなに迷惑かけてごめんと頭を下げた。
なのにやっぱりこの人たちは優しさの塊のような集団で、笑顔で「大丈夫」「気にしないで」と口々に言ってくれた。
地元に帰ってきて見慣れた街並みにひと息つくけれど、何かが物足りない。何もまだ失っていないのにこんなにも心に穴が開いたような初めての感覚に少し戸惑った。
今頃千木良くんはどうしているだろうか。手術とかしているのかな。お願いだからどうか死なないで――。
見上げた空から視線を外せば、「またね〜」と手を振って帰路へと向き直っていく4人の姿を見送った。
残ったのは私と都波。
家が同じ方向にあるから残ってしまうのは当然かと思い「帰ろっか」と口にする。不思議と振り返ったのは一歩も動こうとしない彼の姿に。
近づいて見上げて、首を傾げる。
私を見ないようにしているのかそれとも見たくないのか、あまり目を合わそうとしない彼は歯を食いしばって何かと葛藤しているみたいだ。
私もさっきのことがあって都波と一緒にいるのは気まづい。だけど……。
「さっきはごめん」
と私から目を合わせにいく。一瞬合うけれど即座に逸らされて上を向かれてしまえば私はどうすることも出来なくてもう一度謝ると今度はため息をつかれた。
見つめる先にはつまらなそうに口を尖らす彼。
何が不満なのだろう。彼はそういう時ほど口を尖らす癖がある。一緒にいるようになってから気付いたことだ。どうやら彼は無意識らしい。他の4人も口を揃えて言っていたことを思い出す。
彼の言葉を待っていると今度はため息混じりに呻いた。後頭部を乱暴に掻いて。それから、手を掴まれて歩きだす。意味のわからない行動に手と彼の背中を交互に見てしまう。
声をかけても無言のまま歩き続け、信号待ちでも無言を貫き通し、ようやく向き合ってくれたのはよく私を待ち構えていたあの十字路だった。
懐かしいと思いつつ手を握ってじっと見つめてくる焦げ茶の瞳を見つめ返す。
眉が八の字に変わった。悲しげに目が細められる。そして頬にそっと手が伸びて撫でた。
「香澄ちゃんが好きだよ。こんな時に言うもんじゃないって分かってるけど……俺じゃだめなの?」