叫べ、叫べ、大きく叫べ!
週が明けた水曜日。
父から【母さん金曜日には退院できるって】とメッセージがきた。驚いたのはいつも一言だけなのに珍しくスタンプまで添えられていたこと。
父の方が無理しているのではないかとクスリと笑みをこぼした。
そうと決まれば早速私たちは色々準備にかからなきゃいけないというわけで放課後、初めて姉妹でショッピングモールへ来た。
栞那は思った以上にはしゃいでる。私の腕に絡ませてくるあたりがもう可愛すぎて……お姉ちゃんこの上ない幸せを噛み締めてるよ……。
「お姉ちゃんと制服デート夢だったからめっちゃ嬉しい!」
「へぇ嬉しいこと言ってくれるね。私も嬉しい」
「おおー!お姉ちゃんが素直〜」
「素直で悪かったね」
「え、褒めてるんだよ?」
「知ってるよ」
くすくすと笑い合う私たちはショッピングモールの中心部へと向かっていく。
もうすぐクリスマスを迎えるということもあってあたりはキラキラしていた。
フロア事に点々と小さなクリスマスツリーも飾られてあった。なんといっても先程までいた入口には特大のクリスマスツリーが突っ立っていて、これには2人して歓喜の声を口にした。
「クリスマスは栞那は彼氏と過ごすの?」
「へ? あーうーん、どうだろ? まだそんな話してないから分からないや」
「そうなんだ。デートできたらいいね」
「出来たらいいんだけど、梶原くん人混みとか苦手みたいなんだよねぇ。アウトよりインの方だし見た目的にも。あ、地味ではないよ?逆に目立つくらいだし……別に外じゃなくてもいいんだけどさー……!」
楽しそうに色んな表情で話す彼女はとても可愛らしくて幸せそう。だから私まで頬が緩んでしまったみたいで、栞那は顔に熱が帯びたようにほんのりピンクに染まっていた。
「お、お姉ちゃんは? クリスマス、」
「私にそんな相手はいないってこと知ってるでしょう。てか話逸らさなくていいんだよ? むしろもっと“梶原くん”の話聞かせてほしいくらいだし」
「うわーなんかお姉ちゃん意地悪だ! 絶対お姉ちゃんに彼氏出来たらいじり返してやるんだからっ」
そう言うと栞那は大股でお店の中へ入ってしまった。
やれやれとその背中を追い、ある一角に立って手招きする彼女にこれまたやれやれと頬を緩ませた。