叫べ、叫べ、大きく叫べ!

帰宅すると、ロック画面にメッセージが5通表示されていた。それも《すまいる》からだ。


なんだろうと開くとその内容は明日のことについてだった。


文香と皐月、そして都波がそれぞれ同じ内容を送っていた。しかもほぼ同時刻。一緒に居たんじゃないかってくらいのタイミングで送られてきたメッセージは、



【明日の放課後、香澄(香澄ちゃん)ん家行ってもいい(かな)?】



皐月はそれに加えて【突然ごめんね。もしの話なんだけど 飾りつけとかするんだよね? 作ったりもする?もし人手が足りなかったらの話だからね!】とさすがみんなのお母さん。そんな心配りがとても胸に染みた。


今日のお昼、みんなに母が退院するってことを話して、密かに両親を喜ばせる計画を立てているとも打ち明けた。だから放課後その準備の物を買いに行くことも知っているわけで。

先週は母が入院中だと打ち明けると「なんで早くに言ってくれなかったの!」なんて都波と同じように怒られてしまったけれど、やっぱみんな優しい。



【ありがとう! 盛大ってわけじゃないけど手伝ってくれると嬉しい】
【放課後、よろしくお願いします!】



味気のない文を送信すると、数分後、軽快な音が響いた。


送信者は都波。了解のスタンプのみ。相変わらず可愛らしい有名なキャラクターに自然と顔がほころぶ。

続いて文香、皐月、糸口くんがほぼ同時にスタンプが返され、1時間後に真田くんからもスタンプが送られてきた。


なんだか胸がいっぱいになった私は堪らず、【みんなありがとう】と送くるとそのまま眠りについてしまったようで――……。



翌朝、遅刻寸前に家を飛び出たのは人生ではじめてで最初で最後であって欲しくて、なんといっても都波には絶対からかわれたくない出来事だ。

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