叫べ、叫べ、大きく叫べ!
お風呂から上がり、部屋でくつろいでいると、ドアを叩く音とともに妹の声がした。
入るよう促すとドアを小さく開けて「うわ、暗っ」と妹らしい反応をみせた。
パッと明かりがついたことに目を閉じて、ゆっくり目を開けると、目を瞑ったまま歩いてくる妹を垣間見た。
本当は笑うところだろうけど、口角を上げるも上手く笑えてるようには思えない。
絶対引きつってる。
ごめん。うまく笑えなくて。
胸の内で謝りながら、私の隣に座る妹、栞那を見る。
栞那がここに来るのは決まって21時頃。その理由は。
「おねーちゃん、今日もお母さん機嫌悪かったね〜。やだね」
「しょうがないよ、いつものことでしょ」
「うん。そーだけど……」
この時間は唯一私たち姉妹の愚痴り大会なんだ。
まあ、ほとんど栞那が愚痴ってるんだけど。
妹も妹で、溜まっているんだ。
その吐き口が私だ。
はじめはお母さんのこと、その次に学校のこと、友達のこと、その他色々。
妹は一個下で、高校1年生。
ショートヘアで、元気っ子。帰りがいつも遅いのはチア部に所属してるから。
そんな妹の話を私はしっかり聞いてあげるけど、ちゃんと笑う場面で笑えていないと思う。
そんな私に構わず話し続ける妹にやっぱり大きな存在なんだなって感じる。