叫べ、叫べ、大きく叫べ!
「ん?なになに?俺の顔になんか付いて、」
「早く自分の席に着きなよ」
再び視線を窓の外へ。
でも窓ガラスには都波が映っていて。
「都波くんなんで最近早いの」
本当は『邪魔』と言いたかったけど、さすがに酷いかなって思って気になることを聞いてみた。
けど、やっぱり聞かなきゃよかったと思う回答が返ってくるわけで。
「だって夏澄ちゃんと話したいから」
「…………」
「いつも早く居るってことはなんとなく知ってたっていうか……」
なぜそこで口を噤む。
なにやら彼は“なにか”をしたらしい。
あからさまに挙動不審。
んー、と考え込んでから都波が口を開いた。
「聞いちゃった。クラスの子から」
「え、なに、もしかして、」
「うん。クラスの子に聞き回った」
「はあ!?」
驚きのあまり声が大きくなって咄嗟に手で口を押さえる。
彼はあははと笑いながらやっと自分の席、私の後ろの席に座った。
私は誘導されてるみたいに体の向きを都波へ。
「き、聞き回ったってどういう、」
「そのままの意味だよ? クラスの子に聞き回った。なぜなら、夏澄ちゃんと話したいから」
「……っ」
そんな嬉しそうに笑わないでよ。
普通、話したいからってそこまでするもんなの?
変だよ。それ。
「……馬鹿じゃないの」
私はそれだけ言って前に向き直った。