叫べ、叫べ、大きく叫べ!

吐き出した息とともに出てきた言葉は、この夏の風に攫われるように呆気なく消えていく。


やっぱりドラマやマンガ見たいないかにも“The・青春”のような行為は私には出来ないみたい。


カシャンカシャンと掴んだフェンスを揺らすことしか出来ない私はとても惨めだ。


予鈴が鳴ったのを耳にしてその場を後にする。


手に錆び付いた鉄の匂いでいっぱいなことに顔をしかめた。


教室へ戻り、自分の席へ。


だけど私の後ろの席には都波がいた。


戻ってきた私を見てヒラヒラ〜と手を振っている。


それを無視して本鈴が鳴るのを待つ。


てか、なんで今日はいるの。いつも本鈴ギリギリまでいないのに。
まるで、私を待っていたみたい……。


っ。いや、これは考えすぎだ。
たまたま今日は早くに友達と解散したのだろう。


仮に違う理由があったとしても、そうであると思い込んでおこう。


じゃないと。


――ツンツン


いきなりの刺激に素直に反応してしまった私は何事も無かったかのようにそのまま窓の外を眺め続ける。


――ツンツンツンツン


無視無視。

相手にするだけで疲れるんだから。


でも……。


さすがに、しつこ過ぎて。



「ちょっとそれ止めてくんない」


目線は窓の向こう。だけど声は彼に届くように呟いた。

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