叫べ、叫べ、大きく叫べ!
暗い部屋にひとり。
今日は本当に疲れた。
精神的に。普段からも削れているっていうのに学校でもこんな毎日を過ごすとなるとさすがにキツい。
それよりもキツいのは……――。
『……もっと笑ってる顔が見たいんだけどなぁ』
『今の顔、めっちゃ可愛かったよ』
そう言って愉しそうに、かつ見たくもない都波の顔を思い出すことだ。
思い出したら延々とそのボイスと笑顔が再生されるから、もうどう止めたらいいのか分からなくなる。
無理やり消そうと頭を振るけど一瞬だけパッといなくなって、また登場してくる。もうそればっか。
「はぁ……」
深く息を吐いて、ベッドに身を預ける。
ぼんやり見える天井の模様は相変わらず波状の木目で、なぜか安心した。
それに反して、私は明らかに少しずつ変化してるなぁ、なんて残念に思う。
その変化は決して“良い”方向では無いことは確かで。
家族もバラバラで、唯一の話し相手、栞那とはあの日から話さなくなってしまった。
今、時計は21時58分。
本来なら愚痴大会真っ最中の終盤のはずなのに、もうそれすらも無い。
妹を見かけるのはもうお風呂上がりくらいかな。あとはたまたま部屋に戻ろうとした時に部活帰りの栞那を見るくらい……?
その時はちゃんと言葉を交わすけど、向こうはあまり目を合わしてくれないし、声も小さい。
それもこれも全て変えたのは、母しかいないのだけれど。
あのお気楽な調子じゃ逆らうような真似は出来るはずがない。