Dear My・・・
 二人の関係が変わってしまうことを。
 
 何も知らない彼だからこそ、こうしてわがままに付き合ってくれている。

 それは幼なじみの特権。

 恋人でもない友達でもない。

 特別な席にいる。

 その席を手放したくはない。

 彼の笑顔を失いたくない。

「このまま海でも見に行くか?」

「え?」

 ちょっと待て。

 こっちがけが人ということを忘れていないか?

「ちょっと、私はけが人なんだけれど」

「大丈夫だって。砂浜を歩く時に、肩ぐらいは貸してやるよ」

「そういう問題じゃないでしょ?」

(いったい何を考えているんだ?)

 そう思ってしまう。

 でもそれが彼なんだ。

 自分が知っている彼の姿なんだ。

「わかったわよ。そのかわりにけがの治りが悪くなったら、責任とってよね」

「おい」

「そうだ。学校の行き帰りに送り迎えをしてもらうとか」

「おいおい」
< 5 / 10 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop