The multidimensional universe
メミガは、自身の心の声に耳を傾ける。

「あの…彼も斉天大聖さんに御挨拶をしたいそうなんですが…いいですか?」

「え?ああ、俺は構わねぇけど…」

「でしたら…代わりますね、少し待っていて下さい」

目を閉じ、深呼吸するメミガ。

彼女自身の肉体を借り、その邪神とやらの人格が入れ替わる…筈だった。

しかし!

「えっ、何っ?何をするつもりですか?」

突然メミガが声を上げる。

彼女の胸の真ん中に、ぽっかりと黒い穴が口を開く。

その穴から生じる強い吸引力によって、吸い込まれていくメミガの肉体。

「そ、そんな!何をするんですかっ!こんなっ、まさかっ…!」

穴から伸びる、メミガの片手だけが空を摑むように動く。

「斉天大聖さんっ…逃げてっ…!」

それが、メミガの最後の言葉。

彼女の姿は完全に飲み込まれ。

「!?」

代わりに黒い穴の中から、想像だにしていなかった者が姿を現した。

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