time~元暴走族豊×キャバ嬢カナ~
クスッ……どうしてそんなこと謝るの?
あたしが浅葱に好意を寄せているとでも思っているのだろうか?
どんなに思わせぶりな言葉を言ったとしても、あたし達は所詮客とキャバ嬢。
恋愛に発展することなどありえないのに……
そんなこと百も承知だと思っていたのに…――
「僕はゆめかちゃんの前ではありのままを見せているんだ。それなのに、隠し事をしていた。自分の中でそのことが許せなくてね。ただ聞いて欲しかったんだよ」
この時、もっと詳しく話を聞いてあげるべきだったんだろうか?
あたしは浅葱のことを人として見ていなかった。
そんなあたしをどんな気持ちで見ていた?
「浅葱さんが既婚者だからってゆめかは何も変わりませんよ」
浅葱のためを思って言った筈の言葉が、きっと浅葱を傷つけていた。
そんなことにも気付かずにあたしは自分の道をひたすら突き進む。
悲しい目をした浅葱の心を何もわからないまま……