time~元暴走族豊×キャバ嬢カナ~
あたしはこの辺に住んでいるけど、お店などに詳しいわけではない。


殆どが店と家の往復だけだから。


知っているといえば“EDUTILOS”くらい……


カウンターしかないあの店は話をするのには適していないけど、仕方なく“EDUTILOS”のドアを開けた。



いつもは心地よい風鈴の音が今日は腹立たしく感じてしまう。



「いらっしゃい。珍しいな。一人じゃないなんて」



文ちゃんの優しい冗談にも今日は付き合っていられない。


あたしのそんな心情を理解してくれたのか、文ちゃんは何も言わずにあたしの前にいつものカクテルを置いてくれた。



「お客さんは何にする?」


「同じもので」



豊と文ちゃんが会話をしているなんて物凄い違和感だ。
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