time~元暴走族豊×キャバ嬢カナ~

宗がビールを飲んでいたときに感じた違和感と同じ。


あたしの中で、豊も宗も別れたときのまま時が止まってしまっている。


だから、新しいあたしの世界の人と豊が会話をするなんて妙な事に感じる。


そもそも、このバーに豊と一緒にいることが妙な事なんだけど…――


「お店の名前なんて読むんですか?」


「いい所に気付いてくれるね。エデュティロスって呼んでる」


そうなんだ……


店名など気にとめたことすらなかった。


文ちゃんの店。


あたしの中ではそれだけで十分だったから。


「呼んでるってことは本当はそう読まないとか?」


「英語な訳じゃないからね…」


豊はどうしてそんなにこの店の名前が気になるのか知らないけれど、しつこく聞き続ける豊に文ちゃんは頭を掻きながら言葉を濁した。


「何か深い思い入れがあるんですね」


「まぁ~そういうことかな」



2人はその後の会話を目でしている。


初対面とは思えない2人のやり取りに取り残された気分だった。
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