time~元暴走族豊×キャバ嬢カナ~
普通だったら、店以外の場所でゆめかを演じるなんて疲れることなのだろう。
でも、あたしはずっとゆめかを演じていたい。
計算高く、強いゆめかになっていれば怖いものなどないから。
「何があったんだい?」
ソファーに腰を降ろした浅葱はあたしの手を引き、隣に座らせてくれる。
「浅葱さん」
そんな浅葱にあたしは唇を重ねた。
言葉なんて要らない。
聞いて欲しい話なんてない。
こうして体が触れ合う事によって、頭の中が空っぽになってくれればそれでいい。
「浅葱さん。もっと……」
「ゆめかちゃん。ごめん…――」
キスを求めるあたしの体は浅葱によって制御される。
「どうして?」
どうして拒むの?
ここへ来たという事は承諾してくれたって事だと思ってたのに……