time~元暴走族豊×キャバ嬢カナ~
欲求不満の女だと言われているような、浅葱の憐れんだ目が視界に入った途端、恥ずかしさでいっぱいになる。
拒まれた事にどうして?なんて縋って……
挙句の果てにこんな視線を向けられている。
恥ずかしくて顔を覆ってしまいたいのに、あたしの両手は浅葱に掴まれていた。
「まず、僕の話を聞いてもらっていい?」
冷静にあたしを気遣う浅葱の態度がますますあたしを追い込んでゆく。
そんなあたしの恥ずかしさなど、完全に無視した浅葱は勝手に喋り始めた。
「僕は女の人が苦手なんだ」
「え……?」
突然のカミングアウトに恥ずかしさは一気に吹っ飛んだ。
「驚くよね。この間、あんなことしたのに……」
「少し驚きました」
「あの日の僕は取り合えず忘れてくれ。本当にどうかしていたんだ」
あたしの手を離した浅葱はソファーに深く腰掛け、真っ直ぐに正面を見た。