time~元暴走族豊×キャバ嬢カナ~
「苦手というか……怖いといったほうが正しいかな。色々とあってね。女の人が怖くなってしまったんだ」


「でも……」


浅葱と出会ったときから、そんな素振りは一つも見せていなかった。



「そう。でも、ゆめかちゃんだけは大丈夫」



優しく微笑む浅葱のこんな顔始めてみた気がする。


それとも、あたしが気付いていなかっただけ?



「リハビリを兼ねて、あの頃ゆめかちゃんが働いていたお店に行ったんだ。最初は足がガクガクと震えていた」


「あたし……そんなこと何も知らずに」


「話していないんだから、知らなくて当然だよ。不思議だったんだけどね、ゆめかちゃんだけは始めから大丈夫だったんだ」


あたしは重たすぎるカミングアウトに返事すらできなくなってしまう。
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