time~元暴走族豊×キャバ嬢カナ~
出会った頃のようにガリガリに痩せこけていたお前の体を直視することが出来ないまま、俺は扉を開いた。
話してくれる日がくることを信じて……
「信じるか…――」
誰かを信じること。
誰かに信じられること。
いつからしていないんだろう。
翔にさえ、本当の心のうちは話せずに、当たり障りのない話をし続けて3年が過ぎてしまった。
信じることができずに生きるということは、信じられずに生きるということ。
どこを見ても人が溢れるこの場所でも俺は一人なんだろう。
独り言を言いながらまた空を見上げていることに気付いた俺はどうかしちまったのかもな……
“生きる”とか“一人”とかそんなこと考えたこともなかったのに……―