time~元暴走族豊×キャバ嬢カナ~
「俺も豊さんと同じ年代で高校行きたかったっす!」


血の気の多そうな実がテーブルに身を乗り出して話をしてる。



「今のほうが便利だぞ」


「便利とかは関係ないっすよ!話し聞いてるだけで心が動かされます。俺もそんな時代に生きたかった」


便利とかは関係ないか……


確かにあの頃の俺達が求めていたものも、今コイツらが求めているものも、便利かどうかは関係ないな。


俺達みたいな奴らにとっては、便利になった世の中のほうが生きにくいのかもしれない。


「生きたかった…って、お前らはまだ高校生だろ。自分達でやりたいことを作り出せばいいだろ?俺達の時だって、ただそこに何かがあったわけじゃねぇ」


そう……


俺達だって、埋まらない何かを埋めようと必死だった。


それが世の中に受け入れられない形だっただけで。
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