time~元暴走族豊×キャバ嬢カナ~
空ばかりを見上げて歩いていると、いつの間にか家の前へと辿り着いていた。
もう日付が変わり、朝日が昇ろうとしているのに、工場からは明かりが漏れていた。
誰かの消し忘れだと思い、工場の中を見渡すと小さく背中を丸めた親父の姿が目に入る。
空気の流れが一瞬にして変わったような気がして足を止めた。
頭を抱え、肩が小刻みに震えている。
何かあったのか?
こんな時間にどうしたんだよ?
心の中では、そう親父に語り掛けているのに、俺は何もなかったかのようにその場を後にした。
家へと続く階段を駆け上がり、風呂に入る気力もない俺は布団の上に崩れ落ちた。