time~元暴走族豊×キャバ嬢カナ~
あの工場が潰れようと、俺がどんなに苦しんだとしても、この世の中ではちっぽけなこと。
そんなことでは何も変わりはしないし、誰も見向きもしない。
乾ききった冷たい風が心の隙間に入り込むばかりで、温かみなんてこれっぽっちも感じない。
こんなんでいいのか?
誰かのために流す涙や、誰かのお陰で温まる心は大切なものなはず。
それがなければ、強風ばかりが身に染みるこの世の中で何を支えに生きていけばいい?
どんな未来を描いたらいいんだ?
俺は……
俺の夢は家族を持つこと。
ありきたりだが、仲のいい家族を持ちたい。
普通でいいんだ。
普通の家庭で、一生懸命稼いだ金で普通に家族を養う。
金持ちになりたいとか、家族に大金を与えてやりたいなんて思わない。
ただ、家族のために涙を流し、家族のお陰で心が温まる。
そんな夢すらちっぽけすぎて、この世の中では語れやしない。