time~元暴走族豊×キャバ嬢カナ~
きっとこんなふうに自分の体を汚く思う日は今日で最後だろうと、頬をゆるめながらシャワーを浴びた。
明日からは日の照り付ける場所も堂々と顔を上げて歩ける。
人生嫌な事もあれば良い事もある。
捨てたもんじゃないよな。
…――なんて能天気な事を考えていられるのも、この時だけとは知らずにあたしは最後の夜を満喫していた。
シャワーを浴び終えると、ビールを片手に片づけを始める。
この部屋に引っ越してきたときの段ボールに必要なものだけを詰め込んだ。
ドレスが増えた以外は代わり映えのしない荷物……―
1時間もかからずに終わってしまい、残りの時間をどう過ごしていいのかわからない。
小さい頃、次の日に楽しみなことがあると眠れなくてソワソワとしていたあの感覚に似ていた。
頭の中が冴え渡り、目を閉じても眠気がやってこない状態。
こんな気分を味わえるのもまたいいかもしれない。