time~元暴走族豊×キャバ嬢カナ~
浅葱とあたしは契約を交わしたんだ。
金と時間を売買した。
あたしが浅葱から金をもらい、浅葱があたしから安らぎの時間をもらう。
果たして、あたしといることが安らぎなんかになるかはわからないけど、浅葱はそれでいいと言った。
明美に浅葱との契約の話をすると、急に顔つきが変わる。
「それって、全然夜から抜け出せてないじゃん。寧ろ、最終的なとこまで来ちゃったってやつ?」
「何言ってんだよ!!もう、親父達に体触られて、働かなくていいんだから夜から抜け出せただろうが」
明美と話しているとついつい昔の癖で、言葉遣いが悪くなってしまう。
「それは違うな。愛人契約を結んだってことでしょ?カナはその男に金で囲われたんだよ。カナのすべての時間をその男に買われたの」
「…………」
それまで反論していたあたしは言葉に詰まる。
そうなのだろうか…?
夜から抜け出せたと思ったのは勘違い?