time~元暴走族豊×キャバ嬢カナ~
「こんないいとこに住めて最初は気分がいいかもしれないけど、そのうち嫌になるよ。愛人をこんなふうに金で縛るような男、絶対普通じゃない。変体プレイとかされたらどうするわけ?」
明美の言葉にあの日の記憶が蘇る。
一度だけ、浅葱と肌を重ねたあの日の事を……
「……もしかして、もう変体プレイの餌食になってるとか?」
「そんはずねぇだろ!!」
あたしはテーブルに置きっぱなしにしていた、ビールを一気に飲み干した。
「じゃあこれからか。今までは普通だった?」
「まだやったことねぇよ」
「はっ?」
明美は身を乗り出して、あたしの顔に近づいてくる。
「近けぇよ」
「だって、やってないのに愛人になったわけ?」
やってない…――
すべてを説明すると明美はまたごちゃごちゃと五月蝿そうだから、この間のことは伏せておこう。
最後までやってないんだから嘘はついていないわけだし。