time~元暴走族豊×キャバ嬢カナ~

浅葱との契約を始めて一週間。

明美が言っていたような事はなかった。

あたしの住むマンションに訪ねてきては、たわいもない会話をする。


そして、浅葱はすぐに自分の部屋へと篭ってしまう。


そこで何をしているのか、何のためにこの場所を用意したのか、わからないあたしは浅葱の生活に合わす毎日が続いた。


干渉や束縛をしない浅葱に、あたし自身ホッとしながらも、いくつもの疑問が解決されないもどかしさが募っていた。


“イマカライク”


仕事をやめたことによって、暇を持て余しているあたしのピッチがお決まりのように音を鳴らす。


浅葱からの連絡が入ると、部屋の中を片付け、ジャージから店で着ていたドレスに着替えをする。


これだけが浅葱から言われた条件だった。


「僕が部屋へ行くときにはドレスを着ていて欲しい。」と……


あたしは何で?なんてことは聞かずに笑って返事をする。
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