time~元暴走族豊×キャバ嬢カナ~
ガチャ
玄関で鍵を開ける音がすると、あたしは慌てて玄関の前に立つ。
「浅葱さん。おかえりなさい。」
「ゆめかちゃん。今日も可愛いね。ただいま。」
あたしの笑顔に、浅葱の笑顔が返ってくる。
でも、きっとこれはお互いに笑顔と呼べるものではないだろう。
仮面をかぶった表情をつき合わせている不自然さ。
「今日は何をしていたんだい?」
「今日も一日中家にいて、浅葱さんが来るのを待ってた。」
あたしは浅葱が喜びそうな言葉を並べ立て、スーツをハンガーにかける。