time~元暴走族豊×キャバ嬢カナ~
「いい言葉が見つからないから、愛人って言葉になっちゃうけど……そういうことかなって。あたしは浅葱さんにお金をもらって生活できてるわけだし。」
「違うんだ。」
浅葱はいつもより少しだけ大きな声であたしの言葉を否定した。
「僕はそんなことをしたいわけではないんだよ。ただ、ゆめかちゃんと一緒にいたい。それは恋人同士みたく、肉体関係を求めているわけじゃないんだ。」
男が女を金で繋ぎとめているのに、肉体関係が必要ないなんてあたしには理解できそうもない。
「僕はね、あの店で働く事に苦痛を感じているように見えたんだ。」
「あたしが?」
コクリと頷く浅葱にあたしは恐怖心を抱いてしまう。
お互いの事は何も知らないから、一緒にいれる。
それなのに、浅葱はあたしの心を見ていたと知れば、この関係が突然怖いものに感じてしまう。