time~元暴走族豊×キャバ嬢カナ~
浅葱の言葉を何度思い返してみても、あたしにはやっぱり理解できない事だった。


理解できないものを無理に理解しようなんて思わない。


生きていれば、理解できない事も理解できない人も沢山いる。


そのことについて悩んだところで、結局理解する事なんてできないんだ。


こんなふうに無駄な事で悩まなくなったのは、あたしが大人になったせいかな?


大人になってゆくということが、こういうことだとすれば、あたしは大人になんかなりたくない。


そうは思っていても、楽な生き方のほうへと自然と心が動いてゆくんだけど……


昨日はあれからすぐに浅葱は自分の部屋へと篭ってしまったから、あれ以上の会話はしていない。


理解できないけど……―


あたしが自由でいていいのなら、そうしようと思う。


“愛人”の定義なんてそもそもわからないわけだし、浅葱がいいと言うのなら気にする事はない。
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