time~元暴走族豊×キャバ嬢カナ~
仕事をして疲れているのか、疲れていないのか、今じゃそんな事もよくわからなくなっていた。


家に入るなり風呂場へと行き、シャワーを浴びる。


汗と油まみれのこの体が最近は嫌で仕方ない。


ジャーっと頭からお湯をかぶると、少しは晴れた気持ちになる。


何が晴れたかなんてことは考えもしたくないけど……



「まだかよ~」



バスタオルを肩にかけ、風呂場から出ると勝手に上がりこんでいた翔が玄関で腰を降ろしている。



「あとは着替えるだけだから、静かに待ってろ」


「へいへい」



俺は自分の部屋で服を着ると、すぐに玄関へと向かった。



「豊?ご飯いらないの?」


「外で食う」



居間のドアを開きながら母さんが顔を出す。


もう、子供じゃないんだから飯の準備なんてしなくていいって言っているのに……


「おばさーん。すみません。豊、借りていきますね」


「あら、翔君。そんな所にいないで中に入ればいいのに」



誰とでもすぐに打ち解けられる翔は母さんのお気に入りだ。
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