time~元暴走族豊×キャバ嬢カナ~
「帰るか。いくらっすか?」
俺は両腕を高く天井に向かって伸ばし、立ち上がった。
「今日はいい。」
「文さん……。」
文さんは時々こうやってお金を受け取ってくれない。
「今日は一人でいたくない日だったんだ。豊が来てくれて助かったよ。」
「そんなことされてたら、ここに来れなくなるじゃないですか。」
5000円札をカウンターに乗せようとした俺の手を文さんは優しく包んだ。
「気にしないでくれ。カナが現れたらあいつに請求するよ。」
そんな風に笑われたら、俺はこの手を引っ込める事しかできねぇよ。
「ごちそうさまっす。」
「あぁ。また明日な。」
俺は文さんに頭を下げて店を出た。