time~元暴走族豊×キャバ嬢カナ~
怒りに任せ、バイクを走らせていた俺が辿り着いたのはいつもの場所だった。
どんな事を考えていても、思っていても、お前に会いたい気持ちは消えてくれない。
バイクを近くに止めた俺は店の中へと入る。
チャリーン
この風鈴、落ち着くな。
「おう。豊。酷い顔してんな。」
俺の顔を見るなり微笑んでくれる文さんにも落ち着く。
俺はお前を待ちながら、この店に魅了されているのかもしれない。
文さんが作り出す独特のこの店の雰囲気が味わいたくて、ここに足を運んでいるのかもしれない。
「取り合えず、何でもいいから酒。」
「おい。まだ外は明るいぞ?こんな時間から、そんな飲み方はよくないな。」
俺を宥めるようにゆっくりと話す文さん声は俺の苛立ちを静めてくれる。