time~元暴走族豊×キャバ嬢カナ~
「さっさと行きたいんだろ?喋ってねぇで行くぞ」



翔を残したまま、家を出る。


理由はわからないけどイライラする。


黙々と働く親父にも、いつも笑顔の母さんにも……



そして、何より自分自身に…――。




「おい!待てよ」


「あっ?」


俺は工場の中からバイクを引っ張り出していると、翔が駆け寄ってくる。



「もう少し優しくしてやれよ。いいお母さんじゃねぇか」


「ほっとけ」



ブォーン



落ち着く。


この音を聞いている時だけが、唯一心を落ち着かせることが出来る。



ブツブツと文句を言いながら、バイクを走らせた翔の後を連なるように追いかけた。
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