time~元暴走族豊×キャバ嬢カナ~

「この間とは全然雰囲気が違うな。」


たい焼きを食べ終えた文ちゃんは、あたし達のテーブルに湯飲みを差し出しながら豊の方を見た。


「何がっすか?」


豊はペコリと頭を下げ、湯飲みを受け取ると文ちゃんの言葉に返答する。


「ねぇ~文ちゃん。この店はお茶なんかも出してくれるんだ。」


あたしは桜が描かれているピンク色の可愛い湯飲みを眺めながら、二人の会話に割って入った。


「ご要望があれば、何でも出すけど。豊とカナの関係だよ。二人の間にある空気がこの間より柔らかい。」


あたしの質問に答えた文ちゃんは、豊にも言葉を返す。


その言葉にあたしはビクついた。


何でかはよくわからないけど、豊との関係が傍から見るとそんなふうに感じられているのかと思うと……


不味い


そんな感情が湧き上がってきたんだ。
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