time~元暴走族豊×キャバ嬢カナ~
「な、なに言ってんだよ。この間と何も変わらないし……。」
あたしは思いきり動揺しながら、文ちゃんの言葉を否定する。
それなのに、文ちゃんも豊も何も言ってくれない。
「あたし、そろそろ帰る。文ちゃんのせいで長居しちゃったし。」
鞄を持ち、立ち上がったあたしは動揺のせいか思いきり足をテーブルにぶつけてしまう。
「痛っ!!」
「何、焦ってんだ?それより、何か話があったんじゃないのか?」
そうだった……
膝の辺りを摩りながら、現実の世界を思い出してしまう。
あたしは浅葱とのことを…――
考えなければいけなかったんだ。
偶然いた豊のせいで…
必然的に2人きりにした文ちゃんのせいで…
あたしはすっかり今の状況を忘れてしまっていた。
あたしって頭悪いのかな?
勉強ができないとかじゃなくて、本当に頭が悪いような気がしてきた。
昔、豊にもよく馬鹿だって言われてたし…――