time~元暴走族豊×キャバ嬢カナ~
「地下鉄乗る。」


「そうか。」


「…てか、昔の豊の家の近く。」


「はっ?」



空を見つめていたはずの豊の視線はあたしへと向き、驚いた顔をしている。


そりゃあ、そうだよね。


あんたの元から去っていったあたしが、昔の場所に戻っているなんて…――


意味不明だよね。



「なんでだよ?」


怒っているわけではないんだろうけど、真剣な話になると豊はいつもあたしを睨みつける。


3年が経ったところで豊はたいして変わってないんだな。



「…色々とあんだよ。それより、先に地下鉄乗らないか?」



「あぁ。そうだな。」


ただ、昔と違うことがあるとすれば、あたしと豊の関係。


強引に踏み込んでいけるほど、あたし達は近い関係ではない。


そして、それをするには離れている期間が長すぎた。
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