time~元暴走族豊×キャバ嬢カナ~
「俺らも飽きねぇよな。毎晩、毎晩」
翔はビールを一気に飲み干すと、いつもと同じ台詞から話を切り出した。
「お前には友達がいねぇみたいだからな」
俺も同じ台詞を翔に返す。
「豊のほうこそ、いないだろ?俺は大学に可愛い女友達が沢山いるし」
「なら、連れてきてみろよ」
「こんな仏頂面の男のとこに連れてこれるかよ」
翔とは昔からの付き合いだったが、俺と違って大学なんて所に通っている。
しかも、この辺では一番頭のいい国立大学に……
「女の話なんて…できるようになったんだな」
俺の言葉に翔の表情は一気に曇りだした。
不味かった。
こんなことを言ったらアイツを思い出させるだけなのに……。
口を開くのをやめた翔は2杯目のビールを少しずつ口に含んでいる。