time~元暴走族豊×キャバ嬢カナ~
少しの沈黙が流れた後、何かを吹っ切ったかのように翔の表情は明るくなり、喋り出す。
「女の話くらいはできるかな。ただ……もう恋愛はしたくない。つーか、できねぇな」
苦笑いをする翔が泣いているように見えるのは気のせいか?
「悪りぃ」
「謝んなよ。俺は約束を果たすために前向きなんだ。同情なんていらねぇな」
おちゃらけて見せているけど、昔とは違う。
3年前から俺達は何もかもが変わってしまった。
きっと、あの日から俺達は何かに気を使いながら、向き合い続けているんだろうな。
無くしてしまった大切なものの話題は避けながら……
「同情なんかするわけないだろ?どんなことがあっても俺がお前に同情することなんてねぇ」
こんな風に言っている自分の言葉さえも、何かに覆われて濁って聞こえてくる。