time~元暴走族豊×キャバ嬢カナ~

俺は男の言葉に従うようにお前の座るソファーに腰掛けた。



「名前を聞いてもいいかい?」


「豊です。」


「私は浅葱と申します。」



昔の癖かな?


まだ、俺が餓鬼だってことだろうか?


苗字ではなく、下の名前を名乗ってしまうのは……


大人の雰囲気を漂わせている男を目の前にして、自分の存在が恥ずかしくなってしまう。


「2人は恋人同士なのかな?」


「いいえ。」


俺の言葉にお前の肩が少し揺れる。



「でも、付き合いたいと思っています。高校生の時は付き合っていました。同棲も……。」


嫉妬……


って言うんだろうか?


この男に対しての対抗心と言ったほうがいいだろう。


別に言う必要なんてなかったはずの言葉までもが出てきてしまう。



「そうだったのか……ゆめかちゃんはどうなんだい?」


男に話しかけられても、下を向いたまま何も話そうとはしないお前に少し不安になってしまう。


俺とのことは一時の気の迷いで、やっぱり金……いやっ、この男を取るなんて言わないよな?
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