time~元暴走族豊×キャバ嬢カナ~
「いいんだよな?」
あたしの手を握った豊の手の平はじっとりと汗ばんでいる。
「何が?」
「俺達……のことだ。やっぱり気が変わったなんて言うなよ。」
「言わねぇよ。あたしだって、ずっと悩んでて出した結論なんだ。そんな簡単に変えてたまるかよ。」
「そうか。」
安心すると口数が減るのは相変わらずだな。
あたしは豊の手を思い切り振りほどき、立ち上がった。
「ここは引き払う。」
「あぁ。」
「あたしはもう一度すべてをやり直したいから。」
「あぁ。」
あぁ。しか言わない豊に少しだけイライラしてしまう。
あたしは、貯金だってあるし何とかなるけど、家出少年の豊はどうするつもりなんだか。